「考えに考え抜いて出てきたのが『鍛えている人をかっこよく魅せたい』なんですよ。だからこそ、一切妥協せずに作らないといけない」
2017年から日本でいち早くフィットネスアパレルのブランド「IVTT」を手掛けてきた大池代表。
冒頭のコンセプトを掲げ、過去の対談でも「他のブランドとはクオリティが別次元」と評価を受けています。
この記事は『IVTT』の代表である大池が、フィットネス業界で活躍している方をゲストに招き、トレーニングや仕事のマインドなど、気になる点をインタビューする連載企画の第3弾の後半。
前半の内容はこちら。
>> 【イデ×大池】「感覚の言葉じゃなくて、ロジカルに理論で説明するのが大切」ポージングコーチがこだわる指導法(前半)
後半も引き続き、ポージングコーチであるイデさんの話を中心に対談していますので、お楽しみください。
イデマサト(@masato2de)
1982年生まれ。日本人として「ボディビル」「フィジーク」「スポーツモデル」の3つのカテゴリーを経験。日・韓のフィットネス大会で数々の入賞した実績をもとに、多くのフィットネス競技のポージングを指導する「M2 Posing Lab」を立ち上げる。STOTT PILATESインストラクターとして、ポージングにピラティスの動きを取りれたトレーニングが注目を集め、毎週全国を飛び回る人気講師。
【戦積】
・JBBF 神奈川ボディビル選手権 75kg級 優勝
・WBC fitness korea sport model 2位
〜 パチンコで勝った2万円を握りしめて、そのままゴールドジムに行ったのがきっかけ(笑) 〜
ジムに入った経緯が衝撃的!
大池:トレーニングを始めた経緯を教えていただけますか?
イデ:あー、実はですね。パチンコ屋に行ったら、2万円勝ったんです。んで、そのお金を握りしめてそのままゴールドジムに行ったのがきっかけ(笑)。
大池:なんと(笑)。その2万円があったからゴールドジムに行こうと?
イデ:当時、システムエンジニアをやっていたんです。毎日座りっぱなしの状態で仕事が終わったらラーメンばっかり食べていて「このままじゃヤバイ」と思っていたタイミングだったので、お金握りしめてそのまま入りましたね。
大池:なるほど。お仕事はシステムエンジニアをされていたんですね。
イデ:大学が理系だったこともあり、システムエンジニアになりました。
大池:その当時はスポーツはなにかされていたんですか?
イデ:草野球やっていました。また中学はバスケ、高校は水泳、大学はテニスとひと通りやりましたね。
大池:すごいたくさん! そのスポーツの経験はポージングに役に立ちそうですね。
イデ:そうですね、スポーツのおかげで身体の理解は深まりました。
大池:ちなみにボディビルを始めたきっかけはゴールドジムに入会したからですか?
イデ:ゴールドジムに通い始めて林先生※に会ったのがきっかけです。
※林 久司:ゴールドジムアドバンストレーナー。元全日本ボディビル選手権ファイナリスト。イデさんと大池代表の共通の先生。
ボディビルのポージング教室に困惑したそう
イデ:当時のジムスタッフから「オススメの教室ありますよ!」と誘われて行ってみたらボディビルダーばかりだったんです。どんなトレーニングするのかな?って思っていたら、ポージングの教室で「いや……なにこれ?帰りたいんだけど」と正直思いましたよ(笑)。
〜 「出たい?出たいと思う?」と選ばせるんじゃなくて「出るんだよな?出るでしょ?」みたいな(笑) 〜
大池:想像していたエクササイズ教室と違ったんですね(笑)。
イデ:そうそう。でもやってみたら面白かった。そこに衛藤さん※とかもいましたし。教室が終わったあと反省会があって、ロイヤルホストでボディビルのイロハを教えてもらうんです。いつも注文するのは、100円サラダとダイエットコカコーラ0kcal。衛藤さんが毎回「これは今日のご褒美なんだよ」と(笑)。
※衛藤 雄一選手:2015年JBBFオールジャパンフィジーク優勝者。イデさんと大池代表の先輩。
大池:衛藤さんがどう言っているか、めちゃくちゃ想像できます(笑)。
ゴールドジムに通っているときの裏話を語るイデさん
イデ:それがまぁ面白かったんです。そんな感じで毎週ポージング教室に通っていると、次第に参加者の身体ができてくるんですよね。「あーいいですね」なんて僕が他の参加者の人を褒めていたら、林先生が「来年出るのか?出るんだよな?」と(笑)。
大池:先生の聞き方って「出たい?出たいと思う?」と選ばせるんじゃなくて「出るんだよな?出るでしょ?」という感じで聞いてきますよね(笑)。
イデ:そうそう。林先生が「出るんだよな?」とプレッシャーかけてきて「え、無理でしょ」みたいな。でも、大会見に行ったら「あ、これいけるかもな」と思って「出ます」と言っちゃったんです。そこからですね。
大池:じゃあ「いけるかもな」というくらいには身体が仕上がっていたんですか?
イデ:ジムで10kgくらい落としたら「あ、腹筋割れたなあ」と、それでいけるかなと。
10キロの減量に成功しボディビルの大会に出ることを決意
大池:下地ができていたんですね。どこの大会だったんですか?
イデ:神奈川クラス別ボディビルの70kg級です。5位でギリギリ表彰台でした。9人出場中、2人が当日来なくて、あとは甘々な人が2人いて、4位以降の人は全然身体が違いました。
大池:今からは考えられないですね。昔はダイエットしていない人も気軽に出場したりしていましたけど、今は選手の絶対数が増えていて、上位陣はすごい身体が並びますものね。そっから本格的に始めたって感じなんですね。
イデ:そうですね。そこから「フィジーク」や「スポーツモデル」にハマって今って感じです。
〜 お金はもらっても健康によくないなって。嫌なことを続けても仕方ない 〜
大池:もともとポージングで独立しようと思っていたんですか?
イデ:ポージングコーチを始めてから感じるようになったのが、このまま本職の会社にいても、僕は活躍しないなと思ったんです。正直行くだけでドンよりした気分になりますし、これだとお金はもらっても健康によくないなって。嫌なことを続けても仕方ないなって。
ポージングコーチを始めて自分の気持ちに正直なった
大池:それはキツイ…….。
イデ:拘束時間も長くて、ストレスが溜まりますし、ストレス解消にお金使っていました。
大池:そうすると、結局入るお金は以前の職と今とであまり変わらないけど、ストレスの有無が大きく違うってことですね。
イデ:もうそれですね。大池代表もストレスないんじゃないですか?
大池:あんまないですね(笑)。僕も以前、別の仕事を手伝っていたことがあったんですけど、同じようにストレスを感じていました。
イデ:それは人が?それとも仕事が?
大池:いや職場はすごくいい人たちばかりでした。むしろ楽しかった。ただ、僕の業務量、仕事量が自分のキャパより多かったのが原因で。僕のメインの仕事はIVTTなのに、そちらに時間をとられた結果動けなくなってしまって。
IVTTは、僕しかやれない仕事にコミットするために、僕でなくてもいいところは外注しているんですよ。それが外注して空いた時間に「僕が別の会社の作業をしている……」と、これは本末転倒だなって。
イデ:それはたしかに。
大池:さすがに「これは変えなきゃな」と環境を整えました。しっかりとIVTTを動かしていかないとその先がないですし、やりたいことに集中できませんから。
環境を整える重要性の話をする大池代表
イデ:ほんとその通りですね。だから僕もポージングに力を入れて独立したんです。当時のNICAがターニングポイントになりましたね。
大池:NICAは韓国に行って交渉されましたよね?なんであれほど上手に韓国語が喋れるんですか?
イデ:もともと学生時代に往復2万円で韓国に行けるタイミングがあったので、荷物も何も持たずに遊びに行ったんです。海外だと変なことや恥ずかしいことも聞けるじゃないですか。それが面白くて、通訳の本を片手にとにかく話しかけまくったんです。気がついたら現地の人とどんどん仲良くなって。
大池:それでどんどんハマっていったと。
イデ:そうそう。帰ってきてからも、また韓国に遊びに行きたいなと思っていたので、大学の同期で韓国人の友達を捕まえて毎日教えてもらいましたね。
大池:どっかで韓国語教室とかに入っていたわけではなく、もう旅行と友達だけで喋れるようになったんですね。
イデ:会社入ってからは通訳も必要だったので教室に通いましたよ。さすがにしっかりと勉強しなきゃなと思ってですね。そのおかげで、当時のNICAを呼べたので結果よかったです。
〜 もともとIVTT好きでしたけど、それ聞いちゃうともっと好きになりますね 〜
大池:IVTTの感想を教えてもらえますか?率直な感想を。
IVTTの着心地がよくてボロボロにまで着用している
イデ:クオリティに関しては他と全然違いますよね。ほんと着たことない肌ざわりだなと。だから何回も着ちゃうんですよね。
大池:マサトさん、ボロボロになるまで着てくれるから(笑)。
イデ:ほんとボロボロ(笑)。でも、他のトレーニングウェアと違って素材がしっかりしているから、痛むスピードも遅い。それでも毎日ヘビロテで着ちゃうから、ボロボロになっちゃう。今、ユニクロのトレーニングウェアも着ているんだけど、IVTTと全然違うんですよ。だから5〜6着は欲しいですね、ほんとは。
大池:勝負服として着てもらえれば!
イデ:そう今はまさに、勝負服になっています。ここぞってときに迷わず選択するみたいな。
大池:僕もトレーニングウェアとして売っていますけど、普段着でも着られるように作っています。実際に着てくださっている方たちは、かなり着倒してくれるんで嬉しいですね。タンクトップなんかはトレーニングのときだけしか着ないじゃないですか。IVTTは激しく使っても保ちます。単純な着用回数としての耐久性能がある。Tシャツは普段着でも着てくれるから、ボロボロになるまで着ていただけるのは嬉しいですね。
イデ:こういう話も、今の日本の電化製品が衰退している理由の一つにありますよね。壊れないものを作っちゃったから。NIKONの人が「昔買ったカメラが今でも壊れず使えています。ありがとうございます。」と言われてヤバイと思ったという話があるんですよ。
海外のものは5年で壊れるみたいな。そんぐらいにしとかないといけないから、IVTTも着倒された方がいいのかなと思っています(笑)
トレンドに流されない商品を磨き続けるIVTT
大池:アップルも計算しているみたいですからね。4年で買い替えの時期がくるように。電化製品とかだったら4年で買い替えは短いしもっとがんばれって感じだけど、アパレルはどうしてもトレンドがあるので。
トレンドは3年くらい。うちはあんまりトレンドには合わせていないですけど(笑)。大きいブランドだったらシーズン毎に新しい商品をトレンドに合わせて出していくことができます。
イデ:なるほど、トレンドの意識はたしかに必要になりますよね。
大池:けれども、うちみたいなブランドはそれができない。それならば一つの商品を磨き抜いた方がいい。Tシャツは誰でも着るし、タンクトップも鍛えている人ならば着ますよね。それらをまさに自分のボディメイクと同じように磨き抜く。”鍛えた身体がかっこいい、美しい”と同じような価値観でアイテムを作っていきたいし、作っていきます。
イデ:もともとIVTT好きでしたけど、それ聞いちゃうともっと好きになりますね。大池代表のこだわりに惹かれている人も多そうですし。だからこそ新商品が出たら買っちゃいますよね。
大池:ありがとうございます!新商品作ったときも今までもそうなんですけど、みなさんに届けたいがために実は僕、あまり自分の分持っていないんです。こだわりというほどじゃないんですけど、お客さんの分を残しておきたいので、いまだに初期のサンプルの汚れたやつを着ています(笑)。
着用サンプルに回したりとか、撮影でモデルさんにあげたりしているうちに、自分の分がなくなっちゃうんです。それでもいいと思っていて、結局はユーザーファーストですので、少しでもIVTTの服をみなさんに着ていただきたいから、余った在庫やサンプルを着るようにしています(笑)。
イデ:大池代表の考え方いいですよね。IVTTは他のブランドとかぶらないし限定感があるのでそこもいいですね。
〜 ブランド作りは「コンセプトメイク」にすべて集約されている。考え抜いて出てきたのが「鍛えた身体を綺麗に魅せる」 〜
大池:それときどき言ってもらえるんですけど、ブランド側としては複雑ですね(笑)。僕の夢は街中で誰かがIVTTを着ているのを見かけるようになるってことなんです。
イデ:他の人とかぶらないのも、着ている人からすると、いいポイントなんですけどね(笑)。IVTTはこだわりをすごく感じるから。
IVTTの「コンセプトメイク」を語る大池代表
大池:こだわってこそ”ブランド”ですから。そのこだわりを作ること、ブランド作りは「コンセプトメイク」にすべて集約されていると思っていて。「ブランドコンセプト」とはそのブランドがお客さんに提供する価値のことです。”ブランドがやりたいこと”だけではダメで”うちのブランドを纏ったら、あなたはこうなりますよ”というのをしっかり示さなくてはいけない。
それを考えに考え抜いて出てきたのが「鍛えた人を綺麗に魅せる」なんです。そしてコンセプトは変わってもいいとも思っていて。今のコンセプトにたどり着くまでにも変化してきています。この先ブランドのステージや、着てくださるお客さんの生活が変われば提供する価値も変わるからです。ガチガチに固まらずにやっていきたいとも思っています。
それでも初めはコンセプトの作り方なんてまったく知らなかったですし、ブランド作りがなんなのかがまったくわかっていなかったです。とりあえず商品を作って、売り場を求めて大会に出展していただけ。
イデ:最初からではなかったんですね。
大池:商品のことだけを考えていてもブランドは作れませんし、よく聞く小手先のテクニックを並べるだけでもダメ。本当に着てくれる人のことを徹底的に想像して、すべてを設計する。だからこそ、どこにも一切妥協せずに作らなくてはいけない。その一端が商品のクオリティだと思っています。もちろんブランド側からも直接のサポートはしますが、実際に”お客さんの手元にいるIVTT”は商品ですから。
イデ:IVTTの製品は、肌ざわりやクオリティが別次元ですもんね。
大池:そう言ってもらえると本当に嬉しいです!クオリティ以外も「他のブランドとは別次元!」と呼ばれるようになるのが目標です。それはクリエイティブだったり、対応だったりするんですけど、ふとしたときに「やっぱIVTTっていいよね」と言ってもらいたいですね。
〜 今までの経験って繋がっていくんですよ。今まで面白いと思ってやってきたことが、すべてポージングに繋がっていく 〜
大池:マサトさんは今の仕事とトレーニングを通じてどういう風になりたい、こういう未来を描いているとかありますか?
イデ:正直、理想の未来があるわけではないんです。もちろん目標をつくるのはとても大切ですけど、大学の頃はまさかポージングで独立しているとは思ってもいなかったですし(笑)。色々なことをやっているうちに「ピラティス面白そう」とか「これポージングによさそうだからみんなに教えてあげよう」という直感に従った結果、今に至る感じで。
色々なことをやっているうちにポージングコーチにたどり着いた
大池:直感に従った結果、ポージングコーチになるとは!ですよね。
イデ:ただ、今までやってきたことってすべて繋がるんですよね。エンジニアの仕事を辞めるときに「もったいない」と言われたけど、エンジニアの経験が指導の視点に役に立っているし語学もそう。仕事で使おうと思って覚えたわけじゃないんですけど、結果的に色々な仕事に繋がりました。トレーニングも同じですね。
今まで面白いと思ってやってきたことが、すべてポージングに繋がっていく。多分、また面白いことがあったらそれが今後繋がっていくんですよ。
大池:それはまさに続けていたからこその感覚ですね!僕も去年から書き続けていたNoteが想像以上に多くの人に読まれていてビックリしたことがあります。
>> 日本一フィットネスアパレルに詳しい男が世界中のフィットネスアパレルを徹底的に紹介してみた
大池:これも集客のために書いたわけではなく、ただ「自分が知っているフィットネスアパレルの知識を、持っているだけじゃもったいない」と思って書いただけなので。でもそこが始まりで興味を持ってIVTTのWebサイトにまで訪れてくれているのを見ると、なんでもやっていれば「無駄じゃないな、繋がっているんだな」と実感できます。
”進んでいる実感”がないと、仕事もトレーニングも辛いですが、そこでどれだけ腐らずにやれるか、耐えられるか。いつもいつも悩んでいます(笑)。
イデ:悩みは尽きないですね(笑)。
大池:そこを、マサトさんみたいな先輩に「繋がっていくよ」と言われると、もう少しだけがんばれる気持ちになれます。マサトさんはこの先、やっていきたいことはありますか?
〜 人との繋がりが新しいことに繋がる。その変化や繋がりを楽しみたい 〜
イデ:ポージングで全国制覇したいですね。北海道は行けましたけど、仙台とか東北地方にはまだ行けていないです。ポージングで全国にクライアントがいてくださるのも、僕は旅行好きだから楽しいし、行った先で色々な人との交流がある。人との繋がりが新しいことに繋がるんですよ。
もともと「1〜2人でも教わりたい方がいるなら飛んでいきますよ」てスタンスで始まったのが、おかげさまで今は毎週末できるようになりましたから。
大池:ではもっとポージングを広めたいと。
イデさんの今の目標はポージングを広めること
イデ:そうですね。もっとポージングを広めるのが目標の一つです。筋肉の量や、骨格、その人の体型によって、ポージングって人それぞれ違いますから。一般的に「もっと女性らしく」とか「もっと男らしく」とかすべて形容詞だけで説明していると、理解できない人もいらっしゃるんです。ですから形容詞ではなく、ロジカルにその人にわかる言葉で教えてあげたいってのもありますね。
大池:めちゃくちゃ素敵です。
イデ:これからも、目の前の目標を一つずつ確実に達成していきながら、自分でもどのように変化していくかわからない、繋がりを楽しみたいですね。
大池:今日はありがとうございました!
イデ:ありがとうございました。
パチンコで勝ったお金でジムに通い出したというイデさん。
肩肘張らない自然体で、理知的な姿だからこそ、多くの人がその人柄にファンになってしまうのではないでしょうか。
これからもIVTTでは、フィットネス業界の気になる人を大池がインタビューを実施していきます。
IVTTの製品は「日本一フィットネスアパレルに詳しい男」を自負している代表が、すべてのプロダクトを一手に引き受け、他のブランドにはマネのできない生地や素材を国内外の工場と交渉して一から作り上げています。
期間限定販売の商品のため、ぜひIVTT公式ホームページ、LINEをフォローして新商品入荷のお知らせをぜひチェックしてみてください。