「考える暇もないくらいの熱意があれば、僕はやれると思っている」
この記事は『IVTT』の代表である大池が、フィットネス業界で活躍している方をゲストに招き、トレーニングや仕事のマインドなど、気になる点をインタビューする連載企画の第2弾。
今回お話をうかがったのは、トレーナーとしてボディメイクはもちろん生活・食事管理まで、豊富な経験をもとに細かくアドバイスをするスタイルで、多くのクライアントから絶大な信頼を勝ち取っているカリスマトレーナーの加治さん。
また日本のフィジーク黎明期を支えた選手でもあり、妥協を許さない品質で何度も企業とやりとりをして作り上げた、大人気のサプリメント「PHIZ BODY(ファイズボディ)」の会社の代表も勤める、やり手のビジネスパーソンです。
トレーナー、選手、経営者と3足のわらじを履き、すべて成功を収めている要因はいったい何なのか?
加治さんがトレーナーを目指した動機やマルチに仕事を成功させる手腕、競技の裏側のマル秘話など、IVTT代表の大池がじっくり話をうかがいました。
1回目のゲスト、フィジーク世界チャンピオン田村さんとの対談記事はこちら。
>> 【インタビュー】「大会に勝つ」目標があれば自然にマインドセットされる。フィジーク世界チャンピオンから学ぶ思考法
加治康武(@ysutake_kaji)
1977年生まれ。NASM-PESや食育指導士の資格を持ち、ボディメイクのみならず日常生活からサポートするスタイルで驚異的なリピート率を誇るパーソナルトレーナー。「ファイズボディサプリメント」を販売する株式会社PHIZ BODY代表取締役&エステサロン「BeautySalon&U」のオーナー。ボディビルから競技をはじめ、日本のフィジーク黎明期の初期メンバー。
[戦績]
・初代ベストボディジャパン関東大会準優勝
・関東フィジーク初代オーバーオール
・ビーフ佐々木クラシックマスターズ優勝
・NICA KOREAフィジーク部門優勝
〜 「本業はトレーナー」トレーナーになったキッカケ 〜
大池:加治さんって、めちゃくちゃ人気のトレーナーで、なおかつ競技歴も長いじゃないですか?でも選手とトレーナーかでいうとやはりトレーナーですか?
加治:トレーナーですね。競技選手より前にパーソナルトレーナーをやっていて、歴16年になりました。僕の場合、選手としてコンテストに出てトレーナーの箔をあげようとは一切思っていなくて。違うじゃないですか? コンテスト選手って。
大池:はい、そうですね、コンテスト選手=トレーナーではないですね。
加治:僕にとって、コンテスト選手は楽しいからやっているだけで、趣味なんですよ。だから本業はトレーナー。
大池:わかりました。加治さんがトレーナーになったキッカケってなんなんですか?格闘技やっていた話をうかがったことが……。
加治:そうなんですよ。最初は空手をやっていまして、高校のときに家の近くの空手道場に通い詰めていました。
空手でベテランの方々をフルボッコにしてしまったと、サラリと暴露する加治さん
加治:その当時から、力はあったんで組手に来ていたおっちゃんをフルポッコにしちゃったんですよ(笑)。そしたら、師範代に「本当にそんなにやりたいなら、キックボクシングでもいきなよ」って言われて、事実上のクビ宣告を受けて(笑)。
大池:それはやばい(笑)。
加治:空手やめて何しようかな?って思ったとき、アンディフグやK1が日本ですごく盛り上がっていて、じゃあK1に出たいなと思ったんです。調べてみると高田馬場が本部だったので通いはじめましたね。
大池:K1だったんですね!
加治:それでトーナメント戦に出て、東日本で2位になったんですけど、目を少し怪我しちゃって。怪我が原因で選手としては続けられなくなったので、キックボクシングのジムでやる側から教える側にって感じですね。
〜 「どんな言葉をかけたらいいのか・・・」そんなときにお客さんからもらった一言 〜
大池:そこから本格的にですか?
加治:一人のお客さんがキッカケで本腰入れはじめました。その当時のジムはダイエット目的の方が多かったんですが、その中でも一人の方が「アマチュアでもいいので試合をしたいです」って話になったんです。
大池:おお、やる気のある方だったんですね!
加治:「じゃあやりましょう!」って全力でサポートして、いざ試合ができる段階でリングに上がったら、3ラウンド手が出せないままずっと殴られ続ける悲惨な試合になってしまって……。
正直、ラウンドが終わってセコンドに帰ってくるんですけど、何も言えないくらいかける言葉が見当たらないんですよ。
もうやめてもおかしくないと思うくらい(ひどい)内容だったのですが、3ラウンドの最後まで立ち続けたんです。鼻からすごい出血していて、もうぐちゃぐちゃな状態で。判定の結果を聞かなくてもわかるじゃないですか。
大池:そうですね…。
加治:そのときに、どんな言葉をかけたらいいのか?すごく考えちゃって……。
そしたら向こうからパッて抱きついてきて「加治さんのおかげでこのリングに立てたんです!!本当に感謝しています!!」と言ってくれたんです。
トレーナーになったキッカケを語る加治さん
加治:その一言に「あぁ…僕はこのままじゃダメだ!」と心を打たれて猛烈に勉強をはじめたんです。
キックボクシングのスキルを教えるだけじゃなくて、もっと身体のことを知らないといけない。フィジカルに向き合って、コンディションニングももっと勉強する必要がある…って、そこからフィットネスジムをいろいろ周ったりセミナーでたり、研修受けたりするようになりました。それが原点でスタートですね。
大池:素晴らしい!だからボディメイクだけでなく、食事管理やコンディショニングまでサポートできるんですね!ちなみに加治さんはトレーナー続けながら競技をはじめたんですか?
〜 仲間に「出てみようぜ」って軽いノリで誘われてはじめて出たボディビル大会。前日にハワイ料理食べちゃいましたね(笑) 〜
加治:そうですね。そのあともトレーナー続けながらボディビル競技が2007〜8年くらいからですかね。そのときは減量の知識もなくて、「そのまま出られるみたいよ」って言葉を鵜呑みしちゃって。仲間から「出てみようぜ」って軽いノリでした。
試合前日にハワイ料理の誘惑に負けてしまったらしいです
加治:しかも神奈川のボディビル大会に出たときも、前日にハワイ料理を食べているんですよ。無調整もいいとこ!期間限定でやっていたハワイ料理の誘惑に負けて普通に食べたら、そら予選も通らない(笑)。
大池:はじめのフィジークのノリってそうでしたよね(笑)。
加治:そらそうかと(笑)。そこから本腰入れて勉強しようと「ボディビルってどうやるんだろう?」って2回目トライしたらベスト8まで残ったんですよ。
そこからギアを上げて翌年の神奈川オープンと、BBJ(ベストボディジャパン)で2位をとって。当時BBJがはじまったばかりで初期メンバーだったんですよ。フィジークってそこから定着してきましたよね。
大池:そうですね。ベストボディがスタートしたばかりで、初期メンバーで僕が一番覚えているのは有馬(有馬康泰)さん。
加治:あとは、徳久君(徳久大器)とか、中村あっちゃん(中村厚志)とかも。
大池:豪華メンツですね!! ベストボディのおかげで世の中がいろいろな方を発見できた感がありますよね。
加治:そうですね。やはりベストボディの仲間は今もいろいろな分野で頑張っていますし。
大池:ガッツリ競技に出てたり、本業に戻ったり。その当時のフィジーク黎明期をまさに支えていましたよね。今現役の若い選手もその当時のベストボディを見て、競技をはじめた方も多いですし。
加治:そうですね。
大池:加治さんも、そのあとからガッツリ選手として活躍されていましたよね?
加治:懐かしいですね。日本にフィジークがはじまりだして、そこから関東フィジークで初代オーバーオールとって。全国大会に出て、最近でいうとNPCJ(現FWJ)さんのビーフ佐々木クラシックのマスターズ優勝、あとはNICA韓国で部門優勝とった感じですかね。
大池さんと出会ったのもNICA韓国でしたよね。アテンドとして同行されて。
大池:そうですね。そのときは僕がアテンドで行っていいのかな?みたいな、全然韓国語喋れないし(笑)。
加治:いやいや、見事なアテンドで素晴らしかったです。いろいろ支えになりましたよ。
〜 今の若い子は、この社会状況じゃ難しいけど、できるだけ大会に出て視野を広げてほしい 〜
大池:思い出話になりますけど、大変でしたよね。海外大会あるあるで、全然時間通りにはじまらないし。
加治:そうですね、雨もひどかった。
大池:でもあのステージで開催できたのはよかったですよね!
NICA韓国で仕上がった肉体を披露し優勝
加治:いやーもう……あのステージでできたのは僕のゴールになっちゃいましたね! この社会状況じゃ難しいですけど、今若い子たちが選手としてすごく育っていて、フィジークの認知度も上がっているからこそ大会に出てほしい。
日本よりも、ある意味ではエンターテイメント性がすごく高い。(若い選手が)ああいうステージに立ったらさらに見えるものも違ってくると思うんです。
大池:あれもうバンドやるステージですもんね。まさかあのようなステージでやると思っていなかったから、ほんと雨やんでよかったですね。
通常は野外フェスが開かれるような大きなステージです
加治:あのステージは素晴らしかった。
〜 喜びよりも驚きばかり。ロックフェス規模の大会ステージ 〜
大池:盛り上がりも素晴らしかった。ステージからおりてきた加治さんが(海外のアウェイの会場で初出場なのに)すごい人気でしたもんね。
加治:ポーズダウンのためにスタッフに「GO!GO!」って指示されるけど、(海外なので)アウェイじゃないですか。だからぶっちゃけ階段の影に隠れて時間を過ごそうと思ったんですけど見つかって(笑)。でも階段おりて(ステージに登場したら)あれほど受け入れられるとは思わなかった。
大池:僕らも、あれほど人が多いとは思っていなくてビックリしました。
加治:あれは本当に素晴らしかった! ああいう文化なんでしょうね。
アウェイにもかかわらず、観客に大人気だった加治さん
大池:だってあれ、フジロックのステージ規模でボディビルの大会やるようなもんですからね。しかも加治さん、ステージ裏で帰り支度をしていたら突然呼ばれましたよね(笑)。
加治:あれね、後ろで突然呼ばれてね(笑)。いきなり姿勢をなおすのつけられて。
大池:スタッフに「来て!君来て!優勝しているから!」って。どーいうことやねん!そんな優勝の仕方あるかい!って(笑)。
加治:「なんの話?」ってまったくわからないまま。
大池:スタッフに「脱いで、脱いで!」って。ステージ裏は明かりもないし真っ暗の中でしたよね。
気がついたら優勝が決まっていた一幕
加治:喜びよりも驚きながら着替えていましたからね。あれは面白かった。いい経験でしたよ。
大池:いやー面白かったです(笑)。
〜 すごく理を突き詰めて、最後は「うるせえっ」ていうのが一番いい 〜
大池:それでは、トレーニングについて聞きたいんですけど、加治さんは最近どんなトレーニングしていますか?
加治:最近は感じたままのトレーニングをしています。前まではきちっと組んでたいましたけど、最近はいろいろ試していて、最短20分でパッと終わらせます。
大池:20分でできるんですか?
加治:タイトに詰め込んでやっていますね。競技用とは若干違うのですが、仕事の一貫として20分で身体を仕上げることを意識しているんですよ。シンプルに説得力も違ってくるわけじゃないですか。
大池:たしかに、「20分のトレーニングでこの肉体を維持していますよ」と充分な説得力になりますね。
加治:そうですね、今おっしゃった身体の維持とか、(お客さんのために)いかに効率よくできるかに注力を当てていますね。
大池:さすがですね。トレーニングに対してどうマインドをセットしていくんですか?
加治:そうですね、『理を突き詰める』ってすごく大事だと思うんですよ。
すごく理を突き詰めて最後が「うるせえっ」ていうのが一番いい。しっかりと知識を突き詰めて勉強して、でも「やればいいだろ!うるせえ!」ってノリ。なんでもそうだけど、「やってやるぜ」的なノリってすごく大事だと思っていて。
大池:「理を突き詰めて最後はうるせえ」ってかっこいいですね!
加治:それこそ、アパレル作るときもそうだと思うんですけど、考えていたら周りから「今はやらない方がいいよ」と言われたり、「これはこうだから」って理論を言われたりするけど「いやいやいや!!!やりたいと思ったから僕はやる!」という感じなんですよ。
それに対して結果を出せば見返すことはできるかもしれないけど、必ずしもそうじゃないと思うんです。現実的にね。
大池:うんうん、そうですね。
加治:でも、こんな時代だからこそ『自分のやりたい』と思ったことをやるべきだと。だから、最終的には「僕は何を言われようとこれをやる」ってマインドセットしていますね。
大池:自分を貫く大切さですね。加治さんは今、トレーナーや選手だけでなく、起業家としても素晴らしい手腕を見せていますよね?
〜 打算はないです。熱意でしかなかったんです。熱意なしでは本気のビジネスは進めない 〜
加治:ありがたいことにね、僕の力じゃなくて人に恵まれたんですよ。今やっているのがファイズボディという会社でサプリメント。それとプロテインですね。それを主軸に、あとは横浜にエステサロンを立ち上げました。
僕自身はさまざまなことをやって、周りに助けてくれる人たちがいて、やれるんだったらやろうって自然と動き出すんです。おかげさまでサプリメントも好調だし、エステサロンは1か月以上予約待ちの状態が続いています。
※加治さんがプロデュースしている、サプリメントとエステサロンはこちら。
大池:素晴らしいですね!
加治:本当に僕は人に恵まれています。打算は本当にないんですよ。お金儲けしたいとか、そういうのはあまり考えていなくて「損しない程度にやれたらいいや」って想いでやっていたら継続できている。
大池:継続のコツみたいなものはありますか?
加治:ビジネスってやっぱり『情熱』がないと難しくて。僕の場合「サプリメントはじめます」とか、「エステサロンやります」とか。ビジネスに道があったわけじゃないし、やり方を教えてもらっているわけでもないんですよね。
「それってじゃあ、コツはなんですか?」よく聞かれるけど、熱意でしかなかったんです。熱意なしでは本気のビジネスは進めないですよね。
大池:まさしく!!
加治:ほんとに考える暇もないくらいの熱意があれば、僕はある程度まではいけるんじゃないかって。自分の中の考えですけどね。
どの業界もそうだけどトレーナーもよほどの想いがないと続けようと思わないし、僕もこんだけ長くやっているんですけど、ザラに周りの皆やめてくわけだから。熱量がないと続かないですよね。
〜 本当に若いうちは守りに入らず、普段できないことをどんどんやってみる。視野が広がるから 〜
大池:トレーナーやビジネスをしていて一番大きい壁はなんでした?
加治:なんでしょうね? 正直「楽しいしかない」ですよね。この仕事もサプリメントを創っているのも、工場や研究所にもっていって、プロフェッショナルの方々とめちゃくちゃディスカッションをするんですね。それがもう楽しくて仕方ない。
サプリメントの開発会社からも「すごいいいモノができましたね」と言われると「あ、やってやった」って。この世になかったモノを創れたのがやっぱり、僕の中ではお金じゃない一番の価値を生み出せたときなんですよ。
大池:あまり壁と感じないってことですね。あとから振り返ったら大変だったかもしれないけれど、もう乗り越えちゃっている感じですか?
加治:そうかもしれないですね。あまり考えてなくて直感に従っている。それが強みであり、弱みであるみたいな。僕も過去は全然稼げなかったけど、その経験がすごく生きている。
3.11の震災のときに、働いていた施設がつぶれたんで3か月くらいプータローやっていたんですよ。でもそのときも全然ダメだと思わなかった。(普段パーソナルトレーニングを受けてくれている)お客さんと連絡もとれていたし「再開したらやりましょう」と話もしていた。
大池:繋がりは保てていたんですね。
加治:だから、普段できないことをやってみたんです。
それまでは神奈川で活動していたのを、東京のパーソナルジムを周って、さまざまな経験をしました。稼ぎ的には半分以下か1/3、いや1/4くらいだったんですけど、すごくいい時期を過ごせたなと思うんですよ。
そういう経験って今はもうしたくないけど(笑)。
大池:二度は勘弁ですね(笑)。
加治:でもその経験のおかげで今がある。
過去に守りに入らずいろいろな経験をしたことが今に繋がっている
加治:この記事を読んでいる人に伝えたいのは、若いうちは守りに入らず、新しい経験をしてほしい。新しいことをはじめて収入が1/3くらいになるかもれしない。でも「知ったこっちゃないくらい」の気持ちで、普段できないことをやってみたらどんどん視野が広がるから。
大池:めっちゃくちゃ刺さりますね。
〜 若い頃に経験したことや視野が広がったことで自分の引き出しが増える。能力そのものが上がってくるんですよね 〜
加治:そもそも僕はコミュニケーションがうまくない。人との距離感を保つのが難しいタイプの人間なので人見知りもある。喋れって言われたら喋るんですけど、喋らなくていいよって言われたら本当に喋りたくないんです。
でも商品を作ったり、プロダクトとして売るってなったりしたときは、それは絶対的なコミュニケーション能力が必要になってくるじゃないですか?
大池:加治さんが人見知りだったなんて! でもコミュニケーション能力はどこでも必要ですね。
加治:トレーナーとしても1時間のセッションだったらお客様と向き合って、コミュニケーションをとる。もちろんトレーニングの話をするんですけど、8割以上が世間話なんですよ。実は関係ない話こそ人間関係と意思疎通が円滑に進める秘訣ですね。
若い頃に経験したことや視野が広がったことで、自分の引き出しが増えるんです。コミュニケーションも意識して10年くらい続けてくると、もう能力的そのものが上がってくるんですよね。
大池:好き嫌い別として、もうできるようになっていると?
雑談がお客さんをリラックスさせるコツだという
加治:そういう意味では、サプリメント会社の代表の方と会ったときも同じです。
こういう時代だから気軽に会えないじゃないですか、だから新しくお願いしたところの代表の顔知らなかったんです。それで、文面と電話のやりとりを半年くらい続けて、この前はじめて「会ってみましょう」となり、少し会ってみたんですね。
そしたら「すごい喋りやすい方ですよね。こんな喋りやすい加治さんだから一度お会いしてみたかったんです」と言われて。「あ、やっぱ今までの経験が生きたんだなあ」と。
大池:なるほど、伝えたいことがしっかり伝えられている、伝える力が鍛え上げられていたなと。
加治:僕が結構ムリなことお願いするんですけど、すごく真剣に「なんとかします、なんとかします」とおっしゃっていただいて、お互いすごくいいコミュニケーションがとれているんです。これもトレーナーとして培ってきたモノの積み重ねですよね。
大池:まさに積み重ねの結果ですね。
〜 トレーナーには5つの才能が必要、その中で僕が大切にしているのが『洞察力』。ずっと続けてきたから身についたもの、磨き続けるもの、それがこの力 〜
加治:そうですね。コミュニケーション能力って本当に大切で、トレーナーの資質みたいなものなんです。トレーナーには5つの才能が必要なんですよ。
1:知識
2:実践力
3:プレゼンテーションスキル
4:ホスピタリティ
5:洞察力
知識は当たり前ですよね。実践力、このへんもわかると思うんですけど、自分でトレーニングをしたり食事も自分で管理できているとか、そうじゃないと人に伝えられないでよね。
あとはプレゼンテーションスキル。「これがいいんですよ」ってどう伝えるか、わかりやすく伝えるって大切だと思うんです。
大池:なるほどなるほど。
加治:そしてホスピタリティ、人を迎えて礼儀や感謝の気持ちもそうだし、素直に伝えられる力ってのがすごく大事。その中で僕が一番好きなのが5つめの『洞察力』なんですよ。
人が間違った動きをしたときに見る力ってのもそうだし、たとえば顔色がいい悪いとか、それって洞察力になってくるんですね。あとは限界かを判断する力もそう。
大池:定量化できないものですもんね。
加治:そうそう。そういうのを見極める力って教科書には載っていないし、トレーナーをやっているからこそだなと思っていて。だからその洞察力は今でも磨き続けているんです。街を歩いている人の顔とか、あとは膝の動きとか結構見ちゃいます。
大池:「この人何かスポーツやっているな」とか「この人膝を怪我したことあるよね」とか?
加治:「この人痛いんだろうな」とか「この人、癖持っているだろうな」とか、意識して集中すると見えてきます。僕もほんとに初期の自分の頃と比べて格段に視野が広がって。
変な話、お客さんに集中しなきゃいけないのに、別のところでやっている人も見えるんですよ。横目に入って両方で管理できるくらい。
引用:HUNTER×HUNTER/冨樫義博/集英社/週刊少年ジャンプ
大池:極まってんなぁ。ハンターハンターの円みたいな「このジムのこの範囲内なら加治さんはすべて見られるぞ!」みたいな!
加治:そうなんですよ(笑)。もっと集中しろみたいなのもあるかもしれないけど、足の音とか歩いてくるときの歩調に違和感を覚えられるのも、今までの経験の賜物かなって思いますね。
前半のインタビュー中、終始、和やかにジョークを交えながら話ていただいた加治さん。
人間的魅力に溢れ、結果の出るボディメイク技術で驚異のリピート率を誇る加治さんがプロデュースしている作品はこちら。
お話いただいた内容はまだまだあり、後半は大池代表のオリンピアでのエピソード、加治さんの仕事とトレーニングのマインドセットの話を聞いています。
後半の内容はこちら 。
>> 【加治×大池】「お客さんのことをどれだけ考えて、どれだけ理解して、その人たちに何ができるかを考え続けていくしかない」(後半)